賃料を滞納している賃借人に内容証明を送っても受領しない場合の賃貸借契約解除の可否(結論:条件付きで解除可能)

賃貸借契約をしているけれども,借主である賃借人が賃料を支払わない場合,まず賃料の支払いをすることを促す通知を出し(「催告」といいます),その後支払いがなければ契約解除・立ち退きという流れになります。

この支払いを促す通知,すなわち「催告」をしたことを証明するため,通常は内容証明郵便を利用して,借主に届いたことを郵便局に証明してもらいます。

しかし,悪質な借主の場合,内容証明郵便をわざと受け取らない人もいます。
そのような場合に,催告なしで賃貸借契約の解除ができるのでしょうか。

「借地・借家の法律相談」の266ページ以降によると,借地の場合,内容証明郵便の受領拒絶をしているときは,その後の支払いの通知(催告)をしなくても契約を解除することは可能としています。
借地の場合の解説として書かれていますが,借家の場合も賃貸借契約であることには変わりがないので,同様に考えてよいでしょう。

ただし,賃貸借契約の場合には「信頼関係破壊の法理」といわれる考え方を裁判所は基礎としているため,単に賃料不払いがあっただけで契約解除ができるわけではありません。
賃料不払いや賃料支払いが遅れた事情,その程度を総合的に判断することとなります。

その判断はやはり専門的な内容になりますので,契約解除・建物明け渡しが必要なときは,弁護士に相談された方が間違いありません。
地主さん・大家さんが勝手に借主の荷物を出してしまったり処分してしまった場合,あとあと大きなトラブルになってしまいますので,十分な注意が必要です。