民事事件

土地賃貸借の法定更新において更新料の支払いは必要か(結論:更新料の特約の有無および法定更新の際の合意内容による)

土地賃貸借契約において、賃貸期間満了の際に地主が契約更新を拒絶しても、地主に正当事由がなければ賃貸借契約は更新されます。 では、法定更新の際に、更新料の支払いが必要になるのでしょうか。 賃貸借契約の更新が当事者間の合意によってなされたのであ…

借地契約終了時の立退料の算定はどのように行うのか(結論:借地権価格を基準に諸事情を加味)

土地の所有者から,土地を貸している借地人に対して借地契約の解除申し入れをした際,立退料の支払いを求められることがあります。 では,立退料はどの程度の金額が妥当なのか,またどのように算定するものなのでしょうか。 立退料の算定方法は,事案ごとに…

継続的取引の支払につき消滅時効を主張された場合,債務承認があったと反論できるのか(結論:都度都度弁済する契約か,一部入金かで異なる)

事業者間で継続的な取引がされていることがあります。 例えばA社とB社の間で,A社が金属原料の卸販売をしてB社がA社に対して毎月支払が発生するような例が想定されます。 このような場合に,現時点まで継続的取引を行っているが,B社に未払があり,か…

直前停止(直前停車)した車両に過失割合が認められるのか(結論:停止(停車)した車両の停車位置,停止(停車)してからの時間経過などによって過失がある場合もない場合もありうる)

交通事故が発生したときに,一方当事者が停止(停車)していたにもかかわらず,相手方保険会社から「直前停止(停車)なので過失がある」と主張されるときがあります。 // リンク 直前停止(停車)につき,「衝突の3秒前以内の停止(停車)だと過失が発生す…

支払督促手続を利用できない請求はあるか(結論:将来の給付請求,期限付請求,停止条件付請求は督促手続によることが許されない)

簡易裁判所では,支払督促手続という手続を取り扱っています。 書面で手続が進み,督促異議の申立てがなければ支払督促に仮執行宣言を付され,これに基づいて直ちに強制執行できる手続であるため,使い方によっては便利な制度となっています。 では,どのよ…

労災訴訟で将来の年金給付は賠償金から控除されるのか(結論:判決では控除されないが,和解の場合は控除されることがある)

労働者が業務に起因する事故にあってしまった場合,使用者に対する損害賠償とは別途,労災として保険給付や年金給付が発生することとなります。 この点,被災者が労災保険給付等を受ける場合,この保険給付等でもって賠償額から控除がされます。すなわち,既…

取締役の解任事由は解任当時に会社が認識していた事情に限られるか(結論:限られない)

株式会社の取締役は,株主総会決議によって取締役の任期中であっても解任することが可能です(会社法339条1項 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。)。 では,取締役の解任事由は解任当時に会社が認識していた事…

試用期間経過後に本採用を拒否するのは自由か(結論:客観的に合理的な理由がある場合に限られる)

雇用する場合に,雇用側は労働者に対して試用期間をもうけることがあります。 試用期間経過後に,雇用側は本採用をするかしないか,まったくの自由なのでしょうか。 この点,試用期間中の労働契約は,採否決定までの段階では十分調査ができない資質,性格,…

財産開示期日の呼出状を公示送達の方法により送達したが不出頭の場合,処罰されるのか(結論:正当な理由の有無による)

令和元年の改正民事執行法で,債権者から債務者に対する財産開示手続の制度が強化されました。 裁判所は,財産開示手続の実施決定をしたときは、当該決定を債務者に送達しなければなりません(民事執行法197条4項)。 また,財産開示期日を指定したときは,…

不法行為の損害賠償につき時効は何年か(結論:生命身体については5年または20年)

交通事故によって大きな怪我をしてしまった場合,怪我の治療期間が年単位でかかることがあります。 また,交通事故の加害者がわからず,交通事故の発生時から総統の年数がたって加害者が判明する場合もあります。 このような場合,交通事故による損害賠償請…

判決が出された債権の消滅時効はいつが起算日か(結論:判決が確定した日の翌日)

債権につき,その債権についての訴訟提起後,判決が確定したときには,その債権は10年の消滅時効にかかることとなります。 民法第百六十九条一項 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定…

不法行為の後に和解契約をした場合の時効期間は何年か?(結論:10年になると考えられる)

昨年はみなさまに大変お世話になりました。 今年も取手総合法律事務所をよろしくお願いいたします。 首都圏では再度の緊急事態宣言発令となりましたが,当事務所ではアルコール・次亜塩素酸ナトリウムによる消毒,アクリルシールドの設置,換気の徹底をはか…

同一事故の被害者が,先行する他の被害者が提起した訴訟に補助参加できるか(結論:参加の利益はないが,異議が出なければ参加できる)

民事訴訟法では,補助参加という制度が定められています(民事訴訟法42条)。 補助参加とは,訴訟の係属中,当事者の一方の勝訴について法律上の利害関係を有する第三者が,その当事者を補助して訴訟を追行するために訴訟に参加することをいいます。 典型…

保険契約における保険契約者はどのように決まるのか(結論:形式的な契約者,実際に保険料を支払った者,いずれの場合もあり得る)

保険契約の契約者は,どのようにして決まるのでしょうか。 一般的に,保険契約の契約者が保険料を支払うため,あまり問題にはなりません。 保険法でも,生命保険契約における保険料支払義務の主体は,保険契約者であると定められています(2条3号)。 しかし…

敷引特約(敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約)は有効か(結論:消費者契約法の適用対象だが有効となりうる)

敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約,いわゆる敷引特約という定めが不動産賃貸借契約の際に定められていることがあります。 賃借物件の通常損耗は,本来は賃貸人が負担する費用で,賃借人は通常損耗以外の損耗にのみ責任が発生するのが…

交通事故の物損について慰謝料請求が認められるか(結論:原則として認められない)

自動車事故が発生した場合に,搭乗者にはけががなく,物損しか生じないことがあります。 けががあった場合,被害者の方は加害者に対して通院日数や通院期間に応じた慰謝料を請求することができます。 では,物損のみの場合に物的損害の賠償に加えて慰謝料請…

請負契約の「仕事の完成」とは何を指すのか(結論:予定の工程が一応終了したとき)

請負工事において,「仕事の完成」が請負人の債務となります(民法632条)。 「仕事の完成」に至っていないのであれば注文主は契約解除をすることができ(民法641条),請負人は報酬の全部を注文主に請求することができません(民法634条1号)。請負人の…

不動産の共有関係から脱退することはできるか(結論:持分放棄により可能)

共有不動産については,共有者の一人が他の共有者の管理の費用もまとめて支払って(民法253条1項),他の共有者が義務履行しないことを理由として,相当の償金を支払うことで他の共有者の持分取得をしてしまう(民法253条2項),という手法がありま…

住宅ローン本体との別貸付にも抵当権設定がある場合に別貸付は住宅資金貸付債権に含まれるか(結論:場合によりけり)

住宅ローンと他の借入がある場合に,破産すると住宅ローンも含めて原則として債務免除になりますが,住宅ローンのある自宅は抵当権者が売却ないし競売されてしまうので自宅は手元に残りません。 このような場合,小規模個人再生の申立を行い,住宅ローンの返…

丁字路の右折車と左折車の交通事故における過失割合

丁字路の交差点で四輪車同士の事故が起きた場合,判例タイムズNo38では図【139】~【146】で過失割合が定められています。 しかし,判例タイムズNo38に記載がない事故態様もあります。 具体的には,以下のような場合です。 取手簡易裁判所の横…

他車運転特約で常に保険金支払がされるのか(結論:保険金支払がされない場合がある)

車両の任意保険の特約として,「他車運転特約」が附帯されているときがあります。 「他車運転特約」とは,主契約(任意保険の対象車両)には含まれていない他人の車両を運転していたときに発生させてしまった事故に対して,運転していた運転者の保険から賠償…

失火責任法は賃貸借・使用貸借契約に適用されるか(結論:適用されない)

だいぶ時間が開いてしまいましたが,また少しずつ記事を書いていこうと思います。 さて,失火責任法という法律があります。 この法律により,失火の際には失火を発生させた者に重過失がないと,失火によって被害を被った被害者は失火を発生させた者に責任を…

境界標(境界杭)を一方当事者のみで入れることができるか(結論:判決取得で可能)

隣地との間で,土地の境界が問題となることがあります。 この場合,法務局の筆界特定制度を利用して,土地の境界をあきらかにすることが多いと思われます。 なお,いきなり筆界特定訴訟をすることも可能ですが,裁判所としては筆界(境界)特定のための資料…

相続放棄について債権者が取消請求できるか(結論:できない)

相続人が相続放棄(民法938条)をした場合,その相続人の債権者が詐害行為取消権(民法424条)に基づき,相続放棄の取消を求めることはできるでしょうか。 この点,遺留分減殺請求権の放棄については相続人の債権者が詐害行為取消することは可能とされ…

「単身赴任」は離婚破綻の判断要素となる「別居」にあたるか?(結論:あたらない)

夫婦どちらかが単身赴任している場合に,離婚破綻の判断要素となる「別居」にあたるのかについて,インターネットではあまり根拠を示さず「あたらない」としているサイトがままみられます。 これにはきちんと根拠があります。それは平成八年二月二十六日に法…

遺産分割の実務

今日は午後から東京で、東京家庭裁判所の裁判官の講義を聞いています。

書籍を買いました

久しぶりの投稿です。 実は平成30年4月から、茨城県弁護士会の副会長に選任されたため、なかなか時間が取れませんでした。 相変わらずご依頼も多く、仕事をさせていただいています。 本も相変わらず購入しています。

債権法改正に関する研修会

今日は民法改正の研修会があるため、午前中に龍ケ崎で負債総額1億円超の破産事件の債権者集会に出席した後、直接水戸に来ています。 午後一杯、研修です。

注釈民法

古い注釈民法を買いました。 注釈民法は新版が順次刊行されていて、発売済みの本はすべて購入していますが、いくつか新版が出ていない巻があります。 刊行されるまで待とうと思っていましたが、何年たっても刊行されないばかりか、もうすぐ民法改正までされ…

土浦で医療問題弁護団

医療問題弁護団の勉強会です。 判例タイムズの論考を勉強していますが、かなり難しいですね。