2020-01-01から1年間の記事一覧

士業向けネット配信・ウェビナー・Web(ネット)会議システムのおすすめ機材

第二東京弁護士会の髙橋喜一先生にお誘いいただき,YouTubeで配信を行いました。 既に再生数が900回以上となっており,いろいろな方にご視聴いただけてありがたく思います。 3人が使っているガジェット?リストは以下になるので,ご興味があればどうぞ。ア…

同一事故の被害者が,先行する他の被害者が提起した訴訟に補助参加できるか(結論:参加の利益はないが,異議が出なければ参加できる)

民事訴訟法では,補助参加という制度が定められています(民事訴訟法42条)。 補助参加とは,訴訟の係属中,当事者の一方の勝訴について法律上の利害関係を有する第三者が,その当事者を補助して訴訟を追行するために訴訟に参加することをいいます。 典型…

保険契約における保険契約者はどのように決まるのか(結論:形式的な契約者,実際に保険料を支払った者,いずれの場合もあり得る)

保険契約の契約者は,どのようにして決まるのでしょうか。 一般的に,保険契約の契約者が保険料を支払うため,あまり問題にはなりません。 保険法でも,生命保険契約における保険料支払義務の主体は,保険契約者であると定められています(2条3号)。 しかし…

親族であれば無条件に扶養義務が発生するのか(結論:余力がありかつ扶養需要がある場合に限られる)

民法では,第八百七十七条において,「直系血族及び兄弟姉妹は,互いに扶養をする義務がある。」と親族間の扶養義務を定めています。 では,親族間であれば無条件に扶養義務が発生するものなのでしょうか。 まず,生活扶助義務では,義務者が自己及びその共…

離婚の際に退職金は財産分与の対象となるのか(結論:対象とされる)

夫婦のどちらか又はいずれかに退職金が退職時に支給される場合,離婚の際に財産分与で退職金が対象となるのでしょうか。 まず,退職金,退職手当が財産分与の対象財産となるのは,退職金が労働の事後的対価,賃金の後払いであるという点に求められています。…

数人で相続後,一人が固定資産税を支払っていれば不動産を時効取得できるか(結論:税金支払だけでは時効取得できるとは限らない)

不動産を相続した場合に,相続人間で話し合いをしなかったり,または相続人間で相続登記を行う必要性を感じない場合があります。 このとき,登記は被相続人(亡くなった方)の名義のままとなります。 その上で,不動産の固定資産税は「相続人代表者●●」とい…

Elgato Key LightのControl Centerは2.4Ghz(-g)接続でないとうまく設定できない

akiba-pc.watch.impress.co.jp (2022/5/19追記)この記事に関連して、新しい記事を書いています。 www.toridelaw.com Elgato Key Light,事務所ではしばらく前から使用しています。 LEDを使用しているためそれなりに軽量で,机に設置するためのクランプもつい…

QNA-UC5G1Tをデスクトップで使う

事務所の構内LANを更新しました。ずっと1GbE環境だったのですが,思い切って10GbE環境に変更です。 法律書籍をPDFに変換して資料検索をしているのですが,1000ページ以上あるような書籍だと結構なデータサイズになってしまいます。大きいデータの閲覧や検索…

敷引特約(敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約)は有効か(結論:消費者契約法の適用対象だが有効となりうる)

敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約,いわゆる敷引特約という定めが不動産賃貸借契約の際に定められていることがあります。 賃借物件の通常損耗は,本来は賃貸人が負担する費用で,賃借人は通常損耗以外の損耗にのみ責任が発生するのが…

交通事故の物損について慰謝料請求が認められるか(結論:原則として認められない)

自動車事故が発生した場合に,搭乗者にはけががなく,物損しか生じないことがあります。 けががあった場合,被害者の方は加害者に対して通院日数や通院期間に応じた慰謝料を請求することができます。 では,物損のみの場合に物的損害の賠償に加えて慰謝料請…

婚姻意思とは何を指すのか(結論:真に夫婦関係の設定を欲する効果意思があること)

婚姻の成立は,当事者に婚姻意思があることが前提です。 当事者に婚姻意思がない場合,婚姻は無効と定められています(民法742条1号)。 では,婚姻意思とは何を指すのでしょうか。 判例は仮装離婚の場合でも,「法律上の婚姻関係を解消する意思の合致」があ…

請負契約の「仕事の完成」とは何を指すのか(結論:予定の工程が一応終了したとき)

請負工事において,「仕事の完成」が請負人の債務となります(民法632条)。 「仕事の完成」に至っていないのであれば注文主は契約解除をすることができ(民法641条),請負人は報酬の全部を注文主に請求することができません(民法634条1号)。請負人の…

合名会社・合資会社の無限責任社員は破産により退社することができるのか(結論:定款に定めがない限り退社できる)

会社法は持分会社として,合名会社・合資会社・合同会社という会社組織の規定をしています(会社法575条1項)。 【送料無料】 会社法コンメンタール 14 持分会社 / 神田秀樹 【全集・双書】 posted with カエレバ 楽天市場 Amazon かなり昔は有限会社は…

不動産の共有関係から脱退することはできるか(結論:持分放棄により可能)

共有不動産については,共有者の一人が他の共有者の管理の費用もまとめて支払って(民法253条1項),他の共有者が義務履行しないことを理由として,相当の償金を支払うことで他の共有者の持分取得をしてしまう(民法253条2項),という手法がありま…

賃貸借契約終了後の違約金または賃料相当額に遅延損害金(利息)はつくのか(結論:約定違約金の場合は定めがないと利息がつかなかった)

賃貸借契約が賃借人の賃料不払いによって契約解除されて以降退去しない場合か,または賃貸借契約の合意解除後の退去日に賃借人が退去しなかった場合があります。 このとき賃貸借契約は解除されているものの,賃借人は賃貸物件を利用しているため,賃借人は賃…

養育費について審判前の保全処分ができるか(結論:できない)・養育費請求前の養育費を支払ってもらえるか(結論:財産分与等で考慮)

家事事件手続法は105条で,審判前の保全処分という手続を定めています。 第105条1項 本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるとこ…

未成年者が相続人の場合に熟慮期間と単純承認は何を基準に判断するのか(結論:法定代理人を基準とする)

相続事件で,相続人が未成年の場合があります。 相続人が未成年の場合,相続人は成年になるまでいつまででも相続放棄をすることができるのでしょうか。 これは相続放棄ができなくなる条件である,相続放棄の熟慮期間(民法915条1項)の徒過の起算点をい…

住宅ローン本体との別貸付にも抵当権設定がある場合に別貸付は住宅資金貸付債権に含まれるか(結論:場合によりけり)

住宅ローンと他の借入がある場合に,破産すると住宅ローンも含めて原則として債務免除になりますが,住宅ローンのある自宅は抵当権者が売却ないし競売されてしまうので自宅は手元に残りません。 このような場合,小規模個人再生の申立を行い,住宅ローンの返…

丁字路の右折車と左折車の交通事故における過失割合

丁字路の交差点で四輪車同士の事故が起きた場合,判例タイムズNo38では図【139】~【146】で過失割合が定められています。 しかし,判例タイムズNo38に記載がない事故態様もあります。 具体的には,以下のような場合です。 取手簡易裁判所の横…

他車運転特約で常に保険金支払がされるのか(結論:保険金支払がされない場合がある)

車両の任意保険の特約として,「他車運転特約」が附帯されているときがあります。 「他車運転特約」とは,主契約(任意保険の対象車両)には含まれていない他人の車両を運転していたときに発生させてしまった事故に対して,運転していた運転者の保険から賠償…

裁判離婚による離婚日はいつになるのか(結論:裁判確定日)

離婚届を提出して離婚した場合は届出日が離婚の日となります。 また,家庭裁判所の調停により離婚した場合,調停成立日が離婚の日となります。 では,裁判を経て判決主文に離婚が記載されて離婚する場合は,いつが離婚の日となるのでしょうか。 裁判所の判決…

書籍を買いました / テレビ会議システムを本格的に設置

先月になりますが,書籍を400冊買いました。これで資料となる書籍が3000冊を超えました。 いろいろとお問い合わせをいただいてお答えしたり,見解を意見書として出したりしていますが,基礎資料が十分に揃っていないと満足のいくお答えができないと感…

相続放棄受理証明書は申立人以外も取得できるか(結論:利害関係人なら取得可能)

相続放棄の手続は,相続の開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に行う必要があります(民法915条1項,938条)。 ときどき,相続人間の合意だけで相続放棄ができるように誤解されている方がいます,しかし,相続人間の合意で成立するのは遺産分割協…

治療費未払の患者を医療機関は診療拒絶できるか(結論:原則不可だが拒絶できる場合もある)

通院している患者さんが治療費を支払わないまま帰ってしまい再度診察を希望して来院することや,入院している患者さんの入院治療費が未払のまま入院が継続することがあります。 このような場合,医療機関はどのような対応がとれるのでしょうか。 一般的な事…

身分行為に伴う財産移転に対して詐害行為取消権を行使できるか(結論:超過部分等の取消は可能)

離婚や財産などの身分行為に伴い,財産の移動が生じることがあります。 まず離婚について考えてみましょう。 たとえば,Aさん(財産1億円を所有)とBさんが婚姻をしていて,CさんがAさんに1億円を貸していたけれども,AさんとBさんが離婚してしまっ…

失火責任法は賃貸借・使用貸借契約に適用されるか(結論:適用されない)

だいぶ時間が開いてしまいましたが,また少しずつ記事を書いていこうと思います。 さて,失火責任法という法律があります。 この法律により,失火の際には失火を発生させた者に重過失がないと,失火によって被害を被った被害者は失火を発生させた者に責任を…