法律問題

土地賃貸借の法定更新において更新料の支払いは必要か(結論:更新料の特約の有無および法定更新の際の合意内容による)

土地賃貸借契約において、賃貸期間満了の際に地主が契約更新を拒絶しても、地主に正当事由がなければ賃貸借契約は更新されます。 では、法定更新の際に、更新料の支払いが必要になるのでしょうか。 賃貸借契約の更新が当事者間の合意によってなされたのであ…

相続の際、債務整理を試みた後に相続放棄できるか(結論:債務整理を試みたことが単純承認となり放棄が成立しない可能性がある)

相続の際に、被相続人に財産はあるが返済が必要な借り入れ等もあり、借り入れを金融機関に少なくしてもらって(一種の債務整理)多少でも財産を相続できればそのまま相続し、借り入れが減らずに返済義務を負うような自体になれば相続放棄するようなことは可…

相続人間で相続に争いがある場合に債務者は供託できるか(結論:供託はできない)

相続人の範囲がはっきりしていて,各相続人の所在も判明しているが,相続人間で具体的な相続金額について争いがある場合に,債務者は誰にいくら払えばよいのか,または供託してしまったほうがよいのでしょうか。 例として,相続人が2人(各法定相続分は2分…

高等裁判所の家事審判に対する不服申立の期限はいつまでで効果はどのようなものか(結論:5日以内の手続が必要で,原則として執行停止の効力がない)

調停前置となっている家事事件で,調停不調となり審判に移行すると,家庭裁判所で審判となります。家庭裁判所の審判の結果に納得ができない場合,高等裁判所宛に即時抗告申立をすることとなります(家事事件手続法85条1項)。 家庭裁判所の審判に対する即…

借地契約終了時の立退料の算定はどのように行うのか(結論:借地権価格を基準に諸事情を加味)

土地の所有者から,土地を貸している借地人に対して借地契約の解除申し入れをした際,立退料の支払いを求められることがあります。 では,立退料はどの程度の金額が妥当なのか,またどのように算定するものなのでしょうか。 立退料の算定方法は,事案ごとに…

継続的取引の支払につき消滅時効を主張された場合,債務承認があったと反論できるのか(結論:都度都度弁済する契約か,一部入金かで異なる)

事業者間で継続的な取引がされていることがあります。 例えばA社とB社の間で,A社が金属原料の卸販売をしてB社がA社に対して毎月支払が発生するような例が想定されます。 このような場合に,現時点まで継続的取引を行っているが,B社に未払があり,か…

直前停止(直前停車)した車両に過失割合が認められるのか(結論:停止(停車)した車両の停車位置,停止(停車)してからの時間経過などによって過失がある場合もない場合もありうる)

交通事故が発生したときに,一方当事者が停止(停車)していたにもかかわらず,相手方保険会社から「直前停止(停車)なので過失がある」と主張されるときがあります。 // リンク 直前停止(停車)につき,「衝突の3秒前以内の停止(停車)だと過失が発生す…

交通事故を起こした場合,かならず救護義務が発生するのか(結論:交通事故発生の認識が必要)

道路交通法72条前段は,「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければ…

支払督促手続を利用できない請求はあるか(結論:将来の給付請求,期限付請求,停止条件付請求は督促手続によることが許されない)

簡易裁判所では,支払督促手続という手続を取り扱っています。 書面で手続が進み,督促異議の申立てがなければ支払督促に仮執行宣言を付され,これに基づいて直ちに強制執行できる手続であるため,使い方によっては便利な制度となっています。 では,どのよ…

労災訴訟で将来の年金給付は賠償金から控除されるのか(結論:判決では控除されないが,和解の場合は控除されることがある)

労働者が業務に起因する事故にあってしまった場合,使用者に対する損害賠償とは別途,労災として保険給付や年金給付が発生することとなります。 この点,被災者が労災保険給付等を受ける場合,この保険給付等でもって賠償額から控除がされます。すなわち,既…

取締役の解任事由は解任当時に会社が認識していた事情に限られるか(結論:限られない)

株式会社の取締役は,株主総会決議によって取締役の任期中であっても解任することが可能です(会社法339条1項 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。)。 では,取締役の解任事由は解任当時に会社が認識していた事…

試用期間経過後に本採用を拒否するのは自由か(結論:客観的に合理的な理由がある場合に限られる)

雇用する場合に,雇用側は労働者に対して試用期間をもうけることがあります。 試用期間経過後に,雇用側は本採用をするかしないか,まったくの自由なのでしょうか。 この点,試用期間中の労働契約は,採否決定までの段階では十分調査ができない資質,性格,…

総務省 競争ルールの検証に関するWGにてヒアリングを受けました

昨年末に,私が所属している関東弁護士会連合会消費者委員会において起案した携帯電話につきオンライン解約を求める意見書を,関東弁護士会連合会理事長名で発出していただきました。 www.kanto-ba.org 意見書発出の後,総務省の競争ルールの検証に関するWG…

異議申立により後遺障害認定がされた場合の不法行為の起算点はいつか(結論:症状固定の診断時点)

交通事故によって受傷し,後遺障害認定のための申請(事前認定又は被害者請求)をしたにもかかわらず,後遺障害が認められないことがあります。 このとき,被害者の方が後遺障害認定に対して異議申立を行い,その結果,後遺障害等級の認定がされたとします。…

財産開示期日の呼出状を公示送達の方法により送達したが不出頭の場合,処罰されるのか(結論:正当な理由の有無による)

令和元年の改正民事執行法で,債権者から債務者に対する財産開示手続の制度が強化されました。 裁判所は,財産開示手続の実施決定をしたときは、当該決定を債務者に送達しなければなりません(民事執行法197条4項)。 また,財産開示期日を指定したときは,…

2010年12月10日生まれの人はいつ18歳になるのか(結論:2028年12月9日午後12時)

社会一般の感覚からは,誕生日になってから年を重ねると考えているのが普通でしょう。 しかし,4月1日生まれの人が同学年にいた方は,ちょっと違和感を感じたはずです。4月1日生まれの方は,前日である3月31日生まれの方と同学年であるからです。 法…

不法行為の後に和解契約をした場合の時効期間は何年か?(結論:10年になると考えられる)

昨年はみなさまに大変お世話になりました。 今年も取手総合法律事務所をよろしくお願いいたします。 首都圏では再度の緊急事態宣言発令となりましたが,当事務所ではアルコール・次亜塩素酸ナトリウムによる消毒,アクリルシールドの設置,換気の徹底をはか…

同一事故の被害者が,先行する他の被害者が提起した訴訟に補助参加できるか(結論:参加の利益はないが,異議が出なければ参加できる)

民事訴訟法では,補助参加という制度が定められています(民事訴訟法42条)。 補助参加とは,訴訟の係属中,当事者の一方の勝訴について法律上の利害関係を有する第三者が,その当事者を補助して訴訟を追行するために訴訟に参加することをいいます。 典型…

保険契約における保険契約者はどのように決まるのか(結論:形式的な契約者,実際に保険料を支払った者,いずれの場合もあり得る)

保険契約の契約者は,どのようにして決まるのでしょうか。 一般的に,保険契約の契約者が保険料を支払うため,あまり問題にはなりません。 保険法でも,生命保険契約における保険料支払義務の主体は,保険契約者であると定められています(2条3号)。 しかし…

敷引特約(敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約)は有効か(結論:消費者契約法の適用対象だが有効となりうる)

敷金の額から一定の金額を控除して残額を返還する旨の特約,いわゆる敷引特約という定めが不動産賃貸借契約の際に定められていることがあります。 賃借物件の通常損耗は,本来は賃貸人が負担する費用で,賃借人は通常損耗以外の損耗にのみ責任が発生するのが…

交通事故の物損について慰謝料請求が認められるか(結論:原則として認められない)

自動車事故が発生した場合に,搭乗者にはけががなく,物損しか生じないことがあります。 けががあった場合,被害者の方は加害者に対して通院日数や通院期間に応じた慰謝料を請求することができます。 では,物損のみの場合に物的損害の賠償に加えて慰謝料請…

婚姻意思とは何を指すのか(結論:真に夫婦関係の設定を欲する効果意思があること)

婚姻の成立は,当事者に婚姻意思があることが前提です。 当事者に婚姻意思がない場合,婚姻は無効と定められています(民法742条1号)。 では,婚姻意思とは何を指すのでしょうか。 判例は仮装離婚の場合でも,「法律上の婚姻関係を解消する意思の合致」があ…

請負契約の「仕事の完成」とは何を指すのか(結論:予定の工程が一応終了したとき)

請負工事において,「仕事の完成」が請負人の債務となります(民法632条)。 「仕事の完成」に至っていないのであれば注文主は契約解除をすることができ(民法641条),請負人は報酬の全部を注文主に請求することができません(民法634条1号)。請負人の…

他車運転特約で常に保険金支払がされるのか(結論:保険金支払がされない場合がある)

車両の任意保険の特約として,「他車運転特約」が附帯されているときがあります。 「他車運転特約」とは,主契約(任意保険の対象車両)には含まれていない他人の車両を運転していたときに発生させてしまった事故に対して,運転していた運転者の保険から賠償…

裁判離婚による離婚日はいつになるのか(結論:裁判確定日)

離婚届を提出して離婚した場合は届出日が離婚の日となります。 また,家庭裁判所の調停により離婚した場合,調停成立日が離婚の日となります。 では,裁判を経て判決主文に離婚が記載されて離婚する場合は,いつが離婚の日となるのでしょうか。 裁判所の判決…

境界標(境界杭)を一方当事者のみで入れることができるか(結論:判決取得で可能)

隣地との間で,土地の境界が問題となることがあります。 この場合,法務局の筆界特定制度を利用して,土地の境界をあきらかにすることが多いと思われます。 なお,いきなり筆界特定訴訟をすることも可能ですが,裁判所としては筆界(境界)特定のための資料…

相続放棄について債権者が取消請求できるか(結論:できない)

相続人が相続放棄(民法938条)をした場合,その相続人の債権者が詐害行為取消権(民法424条)に基づき,相続放棄の取消を求めることはできるでしょうか。 この点,遺留分減殺請求権の放棄については相続人の債権者が詐害行為取消することは可能とされ…

遺留分の放棄はできるか(結論:相続後は自由に可能,相続前は家裁の許可が必要)

法定相続人には遺留分(法定相続分のさらに半分または3分の1,民法1042条1項各号)という権利があり,被相続人が法定相続人に相続する財産がないような遺言書を作成していても,遺産の一部を受け取る権利が認められています。 では,この遺留分を放棄…

書籍を買いました

本を購入しました。 毎月一回、まとめて発注しています。定期的に発行されている書籍もあるので、年間で400冊から500冊ぐらい購入している計算になります。 書籍が多いとスペースの問題と検索性の問題が生じますが、これは書籍の電子化で解決しています。 電…

書籍を買いました

久しぶりの投稿です。 実は平成30年4月から、茨城県弁護士会の副会長に選任されたため、なかなか時間が取れませんでした。 相変わらずご依頼も多く、仕事をさせていただいています。 本も相変わらず購入しています。