借地契約終了時の立退料の算定はどのように行うのか(結論:借地権価格を基準に諸事情を加味)

土地の所有者から,土地を貸している借地人に対して借地契約の解除申し入れをした際,立退料の支払いを求められることがあります。

では,立退料はどの程度の金額が妥当なのか,またどのように算定するものなのでしょうか。

立退料の算定方法は,事案ごとに必ずしも同じではありません。

更地価格に借地権割合を乗じた借地権価格を基準とするもの(東京地判昭56.4.28判時1015-90,東京地判昭59.12.21判タ553185,東京地判昭62.3.23判時1260-24,東京地判平2.425)が多く,営業補償,建物価格,移転に伴う精神的苦痛に対する補償,さらには移転実費(運送費,荷造費,動産損料,移転通知費等)なども立退料の内容になります。

借地権設定者が立退料の提供等を申し出たか否か,その金額等が考慮されます。

立退料の金額については,双方の必要性の程度や借地期間等によって異なることになります。また,当該土地をどのように利用しているかによっても異なります。

一般的にいえば,業務用借地のほうが居住用借地よりも立退料の金額は高くなると思われます。

現実の裁判では,当事者双方に存する諸事情を考慮してケース・バイ・ケースで決められることになります。

なお裁判所は,借地権設定者の申出額と特段に相違しない範囲内で,申出額を超える立退料の提供を命ずることができますが,申出額を下回る立退料の提供を命ずることは許されません(民訴246条,コンメンタール借地借家法44ページ)。