婚姻費用に税金は含まれるのか(結論:含まれない)

夫婦間において,婚姻において生じる費用(生活費等)は,収入状況等に応じて負担することとなります(民法760条)。

ここで「婚姻から生ずる費用」,すなわち婚姻費用とは,婚姻当事者を中心とする世帯の生活を,夫婦双方の財産,収入,社会的地位に応じて保持するに要する費用と定義されています(新版注釈民(21)親族(1) 431頁)。

注釈民法 (21) 親族1 総則・婚姻の成立・効果§§725〜762

注釈民法 (21) 親族1 総則・婚姻の成立・効果§§725〜762

では,この婚姻費用には,何が含まれるのでしょうか。
まず,婚姻当事者の生活費のみでなく,子の養育費等も含まれることに異論はありません。
生活費,いわゆる衣食住にかかる費用のうち,問題となるのは「住」の費用です。
住居については,必要費や有益費については婚姻費用に含めることができますが,その権原自体を入手する費用(住宅購入費用等)まで婚姻費用に含めるのは,夫婦別産制のもとでは問題があり,含まれないと解釈すべきでしょう。
では,この生活費の中に,税金は含まれるのでしょうか。
夫婦各自の財産に対する税金については,婚姻費用に含めるべきではないとの考え方が現在の通説です(新版注釈民(21)親族(1) 433頁)。